高度専門医療技術者を育成する本学科では、開設時より医療分野における専門の閉鎖性の弊害を避けるために全人的医療とチーム医療を理念に据えた教育課程を編成してきました。初学年の2つの講義科目で概要を説明し、全専攻の第3学年にこの教育の中核である「チームワーク実習」を必修科目として配置しています。全専攻教員が参加し、毎年約20の外部施設の協力を得た実習を、本年を含めて9年間継続してきました。その特色は実習内容にあり、多職種専攻学生の協働によるグループワークから施設臨地実習、そして全体報告会と報告書作りという一連の授業による模擬体験型実習にあります。毎年、学生と教員の評価を実施しており、チームワークの重要性の理解に高評価を得ています。
このプログラムでは、9年間継続して行われてきた「チームワーク実習」の実績を基に、急速に変化・発展を遂げる現場のチーム医療情勢を取り入れ、学科内完結型から学科外参加発展型へ向けた以下の取り組みを行います。
- 実習施設相互の合同カンファレンスによる現場情報収集ネットワークの構築
従来、実習報告会は学科内で行われてきたが、平成19年度より学外実習施設の協力担当者との合同カンファレンスを実施します。 - 本科目の修業卒業生を対象とした学習効果の調査
就職後における「チーム医療教育の学習」の活用状況を調べるために、系統的アンケート調査を実施し卒業生による評価体制を確立します。 - 他大学とのチーム医療教育情報ネットワークの構築
チーム医療教育を行っているチーム医療教育の広域ネットワークの構築に向けてチーム医療教育を行っている他大学の担当者を招き公開講演会を開催し、「チーム医療教育の広域ネットワーク」を構築します。
1.シナリオ症例立脚型模擬体験型実習
『チームワーク実習』における施設実習は短期間であり、流動的診療体制の中で患者に接する安定した実習の組立は困難です。この為、チーム医療の実際を自らの職種の立場から確認することが難しいことが学生へのアンケート結果にも表れています。そこで、施設実習前グループワークに実習施設の代表的シナリオ症例による模擬体験型実習を導入し、専門職の独自性の立場からの理解を促します。
2.医学科学生との合同実習
保健学科4専攻の学生に医学科学生も加わった全医学部学生の参加するチーム医療実習を構築します。医学科教務部会の支援の基に医学科学生の実習への段階的参加を図ります。